3月7日(2011年) 命日に遅れて!!

https://kaze88.hatenablog.jp/entry/2021/03/15/173000

唐沢さんの追悼記事から引用(最高の追悼文!!)

唐沢俊一ホームページ :: ニュース :: イベント :: 2011年3月30日投稿

大人のマンガを描いた男 【訃報 村野守美

『ほえろボボ』のような動物マンガから、
『わんぱく球団』などの少年マンガ
『垣根の魔女』をはじめとする人情もの、
『秘戯御法』的なエロチックもの、
『オサムとタエ』に代表されるノスタルジック調作品、
『SF新世紀レンズマン』みたいなSF、さらには
神々の指紋』などというトンデモぽいものまで、およそ何でも描ける万能作家で、しかも、それぞれの作品でテクニックを使い分けるというわけではなく、何を描いても村野守美で、それでいてほとんどの作品(これ以外にも少女マンガやサスペンスや宗教の宣伝マンガや、ありとあらゆるものを描いている)が“しっくりと”絵柄にあって落ち着いているという、不思議な作家だった。

これだけ多彩な作品を描いていて、しかもアニメまで手がけている。その万能作家ぶりは、師匠・手塚治虫の衣鉢を見事に受けついでいたと言えるだろう。題名をちょっと失念したが、秋田書店少女マンガ誌『プリンセス』を創刊したとき、横山光輝松本零士といった少年誌で人気の作家に読み切りを描かせるという試みをしていて、その中で最も見事に少女マンガらしい少女マンガを描いていたのが村野守美だった海外もので、そのままカルピスファミリー劇場でアニメ化できるような話だった。

とはいえ、やはりその本領を存分に発揮したのは、『ガロ』や『漫画アクション』等で描いていた青年向け作品群だったろう。とにかく完成度の高さが驚異的だった。テクニックと個性、そしてストーリィテリングの巧みさなどの、マンガ家にとり必要な要素の総合点から言えば、日本のマンガ家で最高位に位置する人ではなかったかとさえ思う。逆に言えば、その“何でも描ける”というところが、村野守美と言えば、という強烈なアピールを欠かせたところだったかもしれない。

むしろ、作品以上に強烈なアピールがビリビリと伝わってきたのは作者ご本人だった。業界(マンガ、アニメ双方)の友人たちから酒の席などで漏れ聞いたそのエピソードの数々は、武勇伝などというにはあまりにシャレにならず、これがあの繊細なタッチの作品の作者の話か、と耳を疑わせるものがあった。何度かガロのパーティなどでお目にかかり、挨拶させていただいたこともあるが、ちょっと他の作家さんに対するときとは異る緊張があったものだ。

もちろん、作品を観賞するにはそんなことは何の傷にもならない。しかし、改めて“創作”というものの底の深さを思うようになったのは事実である。『オサムとタエ』シリーズのノスタルジアに浸っていたときに、そうだ、氏は幼少時に障害を得て下半身不随になっている、このような(オサムのような)子供時代を送れたはずはないのだ、と気づいたときの衝撃は忘れられない。それを微塵も感じさせない作品の出来には舌をまいたけれど。

大手雑誌のマンガですら、“生き残り”をかけて次々に新手を打っていかねばならない今の時代のマンガ家たちは気の毒だ、と思う。
マンガに、大人の余裕がなくなっている(マンガに限ったことではないだろうが)。村野守美がその人生の大部分を過した時期のマンガ界は、まず娯楽の王座としてのマンガの位置は不動とされており、その安定感を基調にして、多彩な個性、才能の持ち主たちが共存し、腕を競い合っていた。“強烈なアピールを欠いた”とさっき書いたのは、村野作品を誹謗したのではない。余裕をもち、ガツガツと人気取りをせずとも、充分にマンガの世界に、村野守美という城を築けた時代、大人たちが大人のマンガを楽しめた時代の素晴らしさを言いたかったのである。

3月7日心不全で死去。69歳。
大人もマンガを読むことが当たり前の時代になった。
なのに、大人のマンガを描いてくれる人がどんどん、いなくなっていっている。無性に、寂しい。

冥福をお祈りする

 


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www.kudan.jp

1975年「プリンセス」 少女マンガ競作集

1月 石森章太郎「永遠の女王ヒミコ」よみきり
2月 永井豪手天童子よみきり
3月 横山光輝「恋と十手とお銀ちゃん」よみきり
4月 望月あきら「Xより愛をこめて」よみきり
5月 松本零士「エメラルタス」よみきり
6月 あすなひろし「すぎ去りし日の・・・」よみきり
7月 吉森みき男「マリちゃんはわたさんぞ」よみきり
8月 石井いさみ「さよなら天使」よみきり
9月 村野守美「クレア」よみきり

この辺までが その競作だったんだろうか??


10月 あすなひろし「はるかなる国 遠い詩 第1話 野分」
11月 あすなひろし「はるかなる国 遠い詩 第2話 さざんか
12月 あすなひろし「はるかなる国 遠い詩 第3話(最終回)

下の図だとあすなさんの3作までが 競作集だったようだ!

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あすなさんの3作までが 競作集だったようだ!
 

2月号 永井豪手天童子」がプロトタイプ作品として。
これは後に「邪神戦記」と改題された。
5月号『週刊少年マガジン』(講談社)に連載されることになる『クイーン・エメラルダス』(松本零士)の最初である。 とのことです。

 

https://lh3.googleusercontent.com/pw/ACtC-3fImZyjxXKYrtNKpc9PEOroBqlQSGm2Gi6L5NT01S1vQvDtZZBygOK-wOCDIAsql9fyony3KceghxelxyBT4hFJ_bTwIY2ZI4iaFJB2KrezuvLUS3NwIAq2_VgIHUtbCH2-imAGrbOJixkO91_ySevLyg=w709-h991-no?authuser=0

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https://lh3.googleusercontent.com/pw/ACtC-3c4hQ-aO1t3yYOBp0-cTKMvOXgv_fo0ZniECog-g0AMd5SpioPhuSAWibXVlHCuYUGeA-Au5PkvfdUxrAjlK5EQA6wk9WHEjYtTpeeV6ggYY_fUvKdR3FkrPbjppd75VfoCZ9JtyhchstkBFXbxVI0dgw=w678-h991-no?authuser=0

村野さんの代表作を選ぶとなると答えに案外困る。
巻数から言えば雁屋哲と組んだ「ザ・テラー」なんだが・・・・w
個人的には オサムとタエ「草笛の季節」! これはきっちりしたシリーズ物でもない短編の寄せ集めなんだよな!リライト(焼き直し)みたいな作品も数編混じってるしなあ。
そういう意味ではシリーズとしても完結してる「垣根の魔女」だろうか?
ただ 長編もあるにはあるんだが ほぼ短編だけで一線を走り続けた稀有な漫画家の一人だったろうと思う。